2015年12月26日(土)、劇団アカレンガの第9回公演となる『アリスの国のアリス』が大阪狭山市SAYAKAホール(大阪狭山市文化会館)大ホールにて開催される。
本公演は、2010年に開催された第5回公演『アリスの国のアリス』に磨きをかけての再演となる。
また「ジャグリング・ユニット・フラトレス」、および「書くジャグリングの雑誌:PONTE」が協力しており、“ジャグリングとミュージカルの融合”の強化が期待される。
「劇団アカレンガ」は、ミュージカルを創造しながら、明るく豊かなメッセージをたくさんの人に送り届けようと活動しているアマチュア劇団。2007年に第1回公演となる『アンモナイトは静かな海に』を発表して以来、今作で第9回目の公演、および2005年の創設から10年目を迎える。
また2015年はルイス・キャロル原作の『不思議の国のアリス』刊行から150周年を迎える年であり、劇団アカレンガは第5回公演『アリスの国のアリス』に磨きをかけての再演を行う。
『アリスの国のアリス』は、もともとジャグリングを取り入れた舞台として制作、発表された。劇団代表である辻野良信氏のご息女がジャグリングに関わっておりジャグリングを目にする機会があったこと、また「ジャグリングのハラハラ・ドキドキ感が『アリスの国のアリス』がもつ高いエンターテインメント色・ファンタジー色にマッチするのではないか」との考えからだという。
▼ 2010年12月に開催された第5回公演『アリスの国のアリス』
しかし、ジャグリングとミュージカルの融合には違和感や課題が残るものとなった。
今回の再演にあたり、劇団アカレンガから「書くジャグリングの雑誌:PONTE」編集長の青木氏にメッセージが送られ、それを機に「書くジャグリングの雑誌:PONTE」と「ジャグリング・ユニット・フラトレス」が協力するに至った。
▼ PONTE編集長 青木直哉氏と編集部員(2015年4月時点)
▼ 書くジャグリングの雑誌:PONTE
2010年の『アリスの国のアリス』公演について、PONTE編集長の青木氏は次のように述べている。
▼ 「劇団アカレンガ ジャグリングとミュージカルの融合への試み」より
ミュージカル自体は、みなさん楽しそうで、作り上げるのにかけた時間、本番の緊張感、終わった後の達成感、きっと全ての色々なものが思い出に残る素敵な公演だったに違いないと思いました。
ただジャグリングの部分について率直な感想を申し上げると、やはりどうしてもジャグリングとミュージカルを組み合わせるとジャグリングの部分が「ジャグリング」として立ってしまって、劇のプロットの流れを止めてしまっているように感じました。
場面転換中にジャグラーが出てきて演じる、という部分もありましたが、それがジャグリングとして十分鑑賞に耐えうるものであるがゆえに、逆に、なぜジャグリングが唐突に挟まれるのだろう、という印象もありました。
ジャグリングの「技」、特殊技能としての側面、「ジャンルとしての個性」がかえって邪魔になってしまっていると感じました。
それでもこれは、劇とジャグリングを組み合わせようとする人達誰しもがぶつかっている課題で、もっと多くの意欲的なジャグラーを巻き込んでいき、単純に今までのジャグリングをそのまま取り入れるのではなくて、舞台の上でやるのにより適した形を探っていく場でもあったら面白いだろうと思いました。
また、同記事内のインタビューにて、劇団代表の辻野氏は課題・求めるジャグラー像について以下のように述べている。
ミュージカルの要素として重要なダンス、歌との有機的な結びつきを作ることがたいへん難しかったです。物語を運んでいく中でお客さんはそのストーリーの流れに意識が向かいます。
たとえばたいへんうれしいことが起こる場面になり、思わず歌ってしまう、踊ってしまうという流れはお客さんの中にすんなりと入っていきますが、ジャグリングはその部分で違和感を感じさせてしまうことがあったと思います。そこをいかに解決するのかが一番大きな課題だと思います。
一言で言えば、「ミュージカル俳優」として舞台に上がっていただきたいということです。
その人の(あるいはその人が演じるキャストの)個性の一つとしてジャグリングの技能がある、という形で舞台に立っていただければと思います。
場合によってはジャグリングの場面は多くないかもしれません、短いチャンスの中でお客さんを「おおっ」と思わせる技術を披露できる方あるいはそのことに挑戦する意思のある方、歌やダンスもみっちりと練習していただける方を求めています。
上述の“ミュージカル俳優としての技能とジャグリング技能を併せ持つ人物”として白羽の矢を立てられたのが、「ジャグリング・ユニット・フラトレス」代表の宮田直人氏であった。
宮田氏は演劇を経て大学よりジャグリングを始めたという経緯をもつ。
ハット(帽子)やデビルスティックという棒状の道具を使ったジャグリングを得意とし、デビルスティックの大会「FantaStick(ファンタスティック)」では優勝、またジャグリングの全国大会「ジャパン・ジャグリング・フェスティバル(JJF):チャンピオンシップ」では決勝進出などトップクラスのジャグリング技術をもつ傍ら、役者として舞台出演も行っている。
▼ ジャグリング・ユニット・フラトレスによる旗揚げ公演『プラネタリウムと望遠鏡』(2014年12月 作・演出 宮田直人)
▼ ハットジャグリングを演じる代表 宮田直人氏
今回の『アリスの国のアリス』再演では3人のジャグラーが出演するが、その1人として宮田氏が「へんてこ帽子屋」という役で出演し、ハットジャグリングのほか役者としての台詞ある芝居、歌やダンスを演じる。
また、舞台演出のアイデアや演技手法の提示、および他2人のジャグラーの演技についても宮田氏による指導のもと制作されている。
前作では「各場面の繋ぎ」としてのジャグリングだったのに対し、今作では「与えられた特定のキャラクターを演じ、1人のミュージカル俳優として演技やダンスの中でジャグリングを行う」とのこと。
“ジャグリングとミュージカルの融合”において、大きな強化が期待される。
アクセス
大阪狭山市狭山1-875-1
公演概要
会場:
SAYAKAホール(大阪狭山市文化会館) 大ホール
日時:
2015年12月26日(土)
開演:
・13:00〜
・17:00〜
(上演時間:約100分)
料金:
前売 2,500円(小学生前売 1,000円)
当日 2,800円
※ 全席指定
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